プロデュース・テクノロジーとは

プロデュース・テクノロジー( Produce Technology )とは、本法人設立のきっかけとなった同志社大学における現代 GP(文部科学省 現代的教育ニーズ取組支援プログラム)の取組の中で生み出した新たな人材育成手法をあらわす用語です。

一般的に「プロデュース」という言葉からは、TV 番組や映画の「プロデューサー」を連想される方が多いかもしれません。しかし、近年日本でもこの「プロデュース」という言葉はエンターテイメント分野だけでなく、たとえば「建築プロデュース」、「イベントプロデュース」、「ブライダルプロデュース」など、さまざまな分野で使われる言葉となりました。

私たちは、「プロデュース」を、何かを「思いつく」ところから、その「思いつき」を具体的に世に出し「社会化する」までの一連の行為と定義づけ、これからの社会で活躍する人材を育てる上での重要なキーワードであると考えました。さらに、このような「プロデュース」行為を、そのプロセスや要素をもとに再現可能な「テクノロジー」として手法化し、新たな人材育成プログラムとして研究、開発を進めています。

「プロデュース」というキーワードについて、また、「プロデュース・テクノロジー」の概要を次にご説明します。


プロデュース

プロデュース・テクノロジー」という用語は、私達が今回の研究の中で生み出した造語であり、英語にもこのような言葉はありません。 ただ、「プロデュース」という言葉は、英語において、「 He produces good films. 」、「 The musical ” Anny “ was his produce. 」というように動詞もしくは名詞として使われています。これらの文を和訳してみようとするとき、日本語には、英語でいう「プロデュース」という行為を的確に意味する言葉が見当たらないことに気づきます。  
近年では、20 世紀最大の産業のひとつである映画産業が注目されるようになり、日本でもこの「 produce 」という言葉が英語と同様な用法をもつ言葉として映画以外のさまざまな分野においても普及しつつあります。上記の文も、日本語において「彼は良い映画をプロデュースする」や「ミュージカル『アニー』は彼のプロデュースだ」というように使ってもその意味が理解されるようになりました。「プロデュース」という言葉は「段取りする」「構想する」「企画する」など、日本語でいうこれらの語彙のすべての意味を含む「行為」を示していると考えられます。

プロデュース・テクノロジー
私達は、社会における「プロデュース」行為について、その種類として

■ビジネス・プロデュース  ■ソーシャル・プロデュース

■サイエンス・プロデュース ■エンターテイメント・プロデュース

の4つの分野に大別できるのではないか、また、「プロデュース」という行為にはその内容について大きくふたつの側面、

■「アクティブ・プロデュース」(外的創造性) ■「セルフ・プロデュース」(内的創造性)

があるのではないかとの仮説を立て、研究を進めました。

私達は、上述の4分野において、「プロデュース」行為を実践した「プロデューサー」に対し、「プロデュース」行為についてのインタビューを実施しました。

多くの「プロデューサー」のインタビューからは、「プロデュース」行為に必要なさまざまな要素を抽出することができました。抽出した「プロデュース」行為の要素をもとに普遍的な要素について体系化ができたことは私達の大きな研究成果といえます。
イメージ
「アクティブ・プロデュース」では、「プロデュース」という行為を単なる「交渉力」、「段取り力」、「創造力」などといった抽象的な能力の集積ではなく、プロデュース行為を推進するプロセスをクロノロジカルに並べた体系を「プロデュース」行為のモデルとして示しています。
この「アクティブ・プロデュース」は、6つのフェーズからなり、さらにそれぞれのフェーズは3つのプロセスに分解できます。

一方、「セルフ・プロデュース」は、自己の内面に関する要素として、「情動」、「知性」、「精神」の大きく3つのカテゴリーとそれらを支える「身体」からなります。これらをプロデューサー自身がコントロールすることで「プロデュース」という行為を行う人格的なベースがつくられると考えています。

これらの「セルフ・プロデュース」の要素は、従来は、生まれつきの素質や性格、才能によるものであるとされ、いわゆる教育による能力育成は困難な「暗黙知」の部分であると考えられてきました。しかし、「プロデュース・テクノロジー」の体系の中では、「セルフ・プロデュース」についても実際の事例の中から普遍的な要素を抽出し、検証するという方法をとることによって客観的な「形式知」として表すことができると考えました。

「プロデュース」という行為は、「アクティブ・プロデュース」と「セルフ・プロデュース」とが相互に深く関係しながら成り立っている複合的な行為であると言えるでしょう。

「プロデュース・テクノロジー」は、まだ研究過程にありますが、これからもさまざまな専門分野の知識や社会の知見を取り入れながら、研究を精力的に進め、完成をめざしたいと考えています。